ブランド・メディアを立ち上げるなら最初に「商標」を取るべき3個の理由

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「Fashionsnap」も商標登録済み。自分のブランドやショップ、メディアなどを立ち上げて独立したい……と考えている人は、まずは最初に「商標」を押さえるべきだ。
「商標」とは、商品やサービスに付ける標章のこと。平たく言えば、「COMME des GARÇONS」や「VIA BUS STOP」や「Fashionsnap」のことだ。「COMME des GARÇONS」ロゴの入った服を勝手に作って売ったら「パクリ」だが、これを「法律的にも違法」としているのが「商標」なのである。そして、「商品やサービス」と言われると「洗剤」とか「旅行代理店」といったものをイメージしがちだが、服や小物も「商品」だし、Fashionsnapのようなウェブサイト(における情報提供など)も「サービス」だ。ブランドやショップ、メディアを立ち上げる場合の、その名称のことを「商標」と言うのだ。

「人気が出てから考える」では遅すぎる

「商標」を登録せずにブランド等の立ち上げを行ってしまうと、せっかくそのブランドが売れてきた時に「パクリ」を作られてしまう。……と、ここまでなら、理解している人も多いはず。そして、「だから、ブランド等を立ち上げて、売れてきたら『商標』のことも考えないとな」と思っているかもしれないが、それは間違いだ。「商標」を考えなければいけないのは、ブランド等を立ち上げる、その前からなのである。

理由1:既に同じ名前のブランド等が存在するかもしれないから

例えば洋服ブランド名を「商標」として出願し登録されると、他人は同じブランド名で服を売ることができなくなる。
言い換えると、もし他の人が既に同じブランド名で商標登録を受けていた場合、服を売れなくなるのは自分だ。せっかくブランドを立ち上げ、洋服を作ってタグを付け、その後に「しまった、既に他の人が!」となったら目も当てられない。

理由2:「同じ名前の洗剤がある」でもNGかもしれないから

「COMME des GARÇONS」は洗剤を出していないけど、しかし赤の他人が勝手に「COMME des GARÇONS」洗剤を出したらマズそう……というのは、直感的にも理解できるだろう。
例えば洋服ブランドが商標登録を受ける場合、作れなくなるのは、基本的には「同じ名前の洋服ブランド」だ。しかしそれ以外のジャンルのブランドも、作れなくなる場合がある。
逆に言えば、例えば洋服ブランドを作る場合、調べなければならないのは、「同じ名前の洋服ブランドがないか」だけではない。他のジャンル……例えば洗剤ブランド(「花王」といったメーカー名、「ソフラン」といった商品名が商標登録されている)などについても、調べなければならないのだ。

理由3:「商標を買い取れ」と多額のお金を要求されるかもしれないから

「商標」の登録は、基本的には早い者勝ちだ。つまり、Aさんが商標登録を受けずにブランドを立ち上げ、売れてきたところでBさんがそのブランド名で商標登録を受けると、ブランド名を利用できるのはAさんではなくBさんだ。Bさんは、「そのブランド名を利用し続けたかったらお金を払え」とAさんに求めることができてしまう。

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「現在どんな商標が登録されているか」という情報は、「商標出願・登録情報」などのサービスで検索できる。ブランドやショップ、メディアの立ち上げを考えている人は、立ち上げ前に、まずはその名称を検索してみよう。

(執筆:河瀬季 / 監修:ニシムラミカ)

法務博士 河瀬季

法務博士 河瀬季

著作権法、商標法などの知的財産法分野や企業法務を得意とする、元IT関連フリーランスの法務博士。「ビジネス+IT」での連載「法律が分かる起業物語」など各種企業運営サイトへの寄稿や、新興企業への法務アドバイスなどを行っている。